東武東上線上板橋駅、都営三田線志村三丁目から徒歩15分。近隣に学校・保育園が多く並ぶ板橋区の住宅街のなかに日本大学豊山女子中学校・高等学校はあります。今回はエナジード導入2年目、中学校教頭の黛俊行先生、中2学年主任の笛木徹先生にお話を伺いました。
エナジードで新しいキャリア教育を
—最初にエナジード導入の経緯を教えてください。
「いままでキャリア教育は職業をよく知って選択肢を広げるという内容で実施してきましたが、それだけではなく正解のない問いに対してどう立ち向かっていくかということを考える授業をしたいと思っていました。18年度の中学1年生より導入、1年間12コマ、3年間で36コマvol.7まで履修する予定です。指導する時間は増やしていく方針で、現在は行事予定の中に組み込んでいますが、新学習指導要領本施行のタイミングで時間割の中に入れようと考えています」
—授業をどのように行っていらっしゃいますか。
「基本的に担任しているクラスの授業を受け持つのですが、昨年の3学期は新年度のクラス替えを見越して担任をシャッフルして実施し、そのあと生徒もシャッフルして実施し、さらに多目的ホールで学年全員での授業を行いました。普段の生徒の様子がわからないクラスでのエナジード、新鮮でとても面白かったです。現在1・2年生が同じ時間に実施しているので、学年を超えた協働学習をエナジードで行うことも検討しています。
「『3つのルール』ポスターは教室だけでなく廊下にも貼っています」
—エナジードの授業を実施するにあたって大切にしていることはなんでしょうか。
「まず相手の話を聞こう、共感する気持ちと敬意をもって相手に接しようと折りに触れ伝えています。エナジードの『3つのルール』ポスターは教室だけでなく、廊下にも貼っています。あのルールはほかの教科のときにも使います。貼ることで教員も常に発言者に敬意を伝えること、褒めることを意識できます」
—先生方もみなさんたいへん努力されていますね。
「生徒の発表を掬い上げて称賛することを1年間ひたすら心がけました。すると本当に生徒が気持ちよく発表してくれるようになったのです。またひとクラスは30人弱ですが全員が発言できる構成にしています。意外な生徒がビジネスセンスを感じさせる発言をしたり、普段数学の時間は黙っているような生徒が称賛されていきいきしているところを見られたりするのが嬉しいですね。自分が活躍できるところを見つけ、特性に合った能力を伸ばすことが大切だというメッセージを生徒に伝えていきたいです」
これからの教育に求められる素養を身につけるには
—現在の学校の課題はなんでしょうか。
「アクティブラーニング・グループ学習・ディスカッション、新しい学習手法を行うには、基礎的な素養も身につけていなくてはなりません。学ぶ内容自体が相対的に多くなっている昨今、日ごろからの学習意欲を涵養することがますます重要になってきています。学校内で塾の授業を週3回受けられる制度のほかに、教員による教科の補講を受けられる制度もありますが、具体的な学習の場の提供だけでなく、学校を挙げてさらに意識の醸成も行っていく必要があると思っています。モチベーションを上げる手法は学校だけではなく日本中が模索している最中ですが、まだまだどこもやらされている感が強いですよね。これを自発的にやる方向に変えていかないと、日本は世界に勝てないとも思っています」
学校生活での心理的安全性を育む。将来正解のない問いに立ち向かう勇気に
—エナジードをはじめてから感じた成果はありますか。
「夏に行った林間学校の事後学習を秋の文化祭で行ったのですが、話し合う、発表する姿勢はすでに整っていて指導がスムーズでした。導入して半年でのことですね。成果はしっかり出ていると感じました。授業参観も行いました。保護者の方から『わたしたちの時代にはなかった授業、いまはない職業を考えたり、課題を発見したりすることは必要ですね』とのご感想をいただきました。また教育学を専攻している大学院生のOGが授業見学に来たのですが、エナジードを一度見て次回もまた来たいと言っていました。生徒にはもちろんですが、若い人の感性に響くのだと思います」
—ほかに気づいた生徒さんの変化はありますか。
「エナジードの授業を行い定期的に話し合うことができているおかげで、生徒間で何かがあってもお互いがその場で想いを伝えあうことができて長引かないのです。こういった事情があった、ここが嫌だった、ここは悪かった、そういった感情の線引きを話し合って、生徒同士が納得できています」
—相手の人格ではなく行動の是々非々で話し合える、時にはケンカになっても話せば解決できるし、先生は適切なフォローをしてくれる。その経験があれば言いたいことを適切に言えるようになりますね。
「前述のクラスシャッフルをした授業ですが、エナジードがなかったら、同じ学校とはいえ毎回知らない相手とぱっとグループを組んで議論するなどといった授業は継続してできませんでした。初めての相手でも『なるほどね〜』『それめっちゃいいね!』と言ってもらえれば、すぐに笑顔になります。この経験はどんな人とも話せる、認めてもらえるという生徒の自信になります」
—学校での心理的安全性が育まれ、さらにコミュニケーションがあらゆることへの意欲にもつながりますね。
「学校全体でももっとコミュニケーションを活発にしていきたいです。掃除などの授業時間以外の関わりのほうが、教員から生徒に伝わることが多いと以前から感じていました。エナジードという新しい教科でコミュニケーションが上達することを教える側も目一杯楽しんでいます。本校では中学3年生の探求学習の最後で卒業発表を行います。次年度はエナジードを学習した学年が初めて卒業発表に取り組むのですが、課題の見つけ方を学んでいる世代のテーマの選び方がどう変わるのか、それも楽しみにしています」
—中学生のうちに楽しい学びを共有し、学校生活や人間関係に自信と信頼を持つことは、将来正解のない問いに立ち向かう勇気になりますね。本日はありがとうございました。
日本大学豊山女子中学校・高等学校
設立 高等学校:1966(昭和41)年
中学校:1986(昭和61)年
所在地 東京都板橋区中台3丁目15番1号
生徒数 325名(中学・女子)
URL www.buzan-joshi.hs.nihon-u.ac.jp
※データは2019年6月のものです
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