導入事例

教育関係者様向け

ENAGEED VOICE 04_東京農業大学第一高等学校中等部

2019.08.20

農大一中

 

 世田谷通り沿い、馬事公苑にほど近い住宅街の中にある東京農業大学第一高等学校中等部では男女合わせて生徒540名が学んでいます。2019年4月、近くに系列の稲花小学校が開校し、一帯には小学校から大学院、さらには「食と農の博物館」までが揃いました。

 今回インタビューにご協力いただいたのは中学2年学年主任の梶山昌寛先生。担当学年は1年時より全クラスがエナジードを履修、2年生ではVol.5 ~7の授業を実施する予定です。

 

困ったときこそ『エナジードの効果』

——1年間エナジードを実施なさっていかがでしたか。

「生徒には1年間の履修で確実に力がついています。先ごろスキー合宿へ学年全体で行ったのですが、ルールを破って夜間ほかの部屋に遊びに行った生徒がいたのです。見回りの教員に見つかって『明日家に帰らせる!』と大目玉、翌日学年主任の僕のところに叱り役が回ってきました。そこで『君たちには自宅に帰ってもらわなくてはならない。いま持っているお小遣いで帰る方法を考えなさい』と僕が言ったら『クラウドファンディングで旅費を募る』『ヒッチハイクをする』など中1の生徒たちからアイディアが出る出る(笑)これエナジード効果だと笑いそうになってしまった。それを見ていた他の教員たちは、このままだと本当に帰ることができてしまう、学年主任は本当に帰らせるつもりなのか? と思ったそうです。結局『じゃあ今度は帰らなくて済むアイディアを出して』と言ったら『他の生徒のためになる奉仕活動をする』『模範となるよう率先して行動する』なんかが出てきて、じゃあそれを実行しようという話になったんですが(笑)」

——叱られている最中でも解決策がいくつも出てくるとは、素晴らしいサバイバルスキルですね(笑)。困った時にもたくさんのアイディアを出して乗り切ることが中学1年生終了時すでに身についている、これは生徒さんたちのこの先の大きな宝物になりますね。

「意見を否定されない、肯定的なフィードバックが得られる、言ったほうがよいアウトプットが出るという実感がそうさせていると思います。エナジードは最初に学ぶ『グループワークをするときの3つのルール』が肝だと思っています。授業時は毎回A0サイズで出力した『3つのルール』ポスターを貼っています。中には1年間ずっと貼り続けていたクラスもありました」

 

エナジードは教員も情報を自分で取りに行かなくてはならない、そこがいい

——授業の中でで気をつけていることはなんでしょうか。

「教えすぎないこと、ここには気をつけていますね。今年はエナジードの指導書が昨年より厚くなりましたが、僕は生徒の自立支援をしている立場です。保護者の皆さんにもその方針にご協力をとお伝えしています。マニュアルを強化するのではなくむしろマニュアルにとらわれず、教員のことも自立支援がいいと思うんです。エナジードは我々も情報を自分で取りに行かなくてはならないと啓発、問題提起をしてくれます。教員はともすれば閉ざされた世界で生活しがちであると普段から自戒していますが、エナジードの授業やその準備をすることによってはっと気づかされることは多いです。授業を進めていく上で困ったりわからなかったりした時は教員同士すぐに相談しあって学年で共有しています。研究日が平日に交代であり、なかなか学年団全員で話し合うまとまった時間が取れないので即時共有が一番いいです」

——アイディアも困ったことも共有、先生方の雰囲気がとてもいいことが伝わってくるお話ですね。生徒さんにもその雰囲気が伝播していると思います。

 

『まず“いいね”と言ってみる』教員にも気付きがありました

——盛り上がったLessonはどれでしょうか?

「最初の授業ですね。まず“いいね”と言ってみる。生徒だけでなく、僕も含めた教員もです。これは大きな学びになりました。それから抽象的なことより、やはり具体的に自分ごとに置き換えるほうが盛り上がりますね。Vol.1 Lesson.3の『違和感を書き出す』ことは実際に教室で起きている問題点と解決策を話し合うのに役立ちました。エナジードは生活だけでなく、教科の授業の改善にも繋がりました。例えばVol.1のもっと〇〇、僕のエナジードの授業を見学した体育科の若い先生が、高校女子の体育の授業で実施しているウォーミングアップ用の音楽に合わせたダンス、あれを中学校でもできないかと提案してくれ、実現しました。エナジードはなにか新しいことを学ぶというより、今ある能力を活用する、提案して改善することが大切、このことに気づかせてくれるものだと思います。Vol.1のワーク『家から学校までのストレスポイントを探して』を通じて、普段の風景の中に、何か見逃しているものはないか? と僕も思うようになりました。道端に咲いている花、季節によって変わる草木、空……。でもそれって、子どもの時にしていたことのように思います」

 

『教員は発想することを楽しんでいます』

——新しいものを生み出すためのヒントは現在に至るまでの道のりを振り返ると発想しやすいかもしれませんね。

「最近昭和レトロがうけているのも、時代とともに忘れ去られたものを、もう一度探しに行くのが心地よいのではないかと思います。私はエナジードの良さをそのように思っています。僕たちのころは『新人類』という言葉が『理解できない若者』という批判的な意味で使われていました。しかし今どきの若者は……っていつの時代も言われるものだと思うんですよ。学年団だって世代の違う集団です。でも協力することで理解し合えるし乗り切れる。若手教員がこんな事例を探し出してきたんですよ。『ヨーグルトのアルミの蓋、あれは中身がつきにくいものにしたいと思った研究者が、蓮の葉の構造からヒントを得て改良、開発。それをみた青森の高校生が、その撥水の仕組を冬場の着雪に困っているLED信号機へ応用できないかと考え研究、その成果を大学で開かれたアイディアコンテストで発表、結果グランプリに選ばれ、その高校と大学で実機を共同開発することになった』大人と高校生が共同できた事例をエナジードをきっかけに知りました。自分たちの学びやアイディアで社会を動かせる、こういう話を共有できるのは嬉しいですね。いま学年会を行うとそれまでの行事や講習の発想を覆すような新しいアイディアが出てくるんです。それらが実現するかはわかりません、でも教員も発想することを楽しんでいます。多様な年齢の大人の僕たちが楽しくやっていれば、生徒も自分たちもとなると思います」

 

「できないをできるにする、これまた教員もです。」

——御校のさまざまな新しい取り組みはそういった発想から生まれているのですね。それにエナジードが寄与できていて、とても嬉しいです。

「Vol.3の『前例のないものを実現する』、できない理由をできる理由に変える。僕の学年の英語の教員ですが、今まで前例がなかった英語の毎日学習をやりたいと考えました。予算をはじめ、いろいろな壁があったのですが、学年団がアイディアを出し合って協力することにより、朝の時間に実施することになりました。もっともっとと口に出すところからだと思います。大学入試改革やソサエティ5.0、察して気づく力がますます必要とされる世の中に対応する力を生徒たちに付けたいのです。今年度の最初の授業、Vol.5のLesson1は僕が学年全員184名に対して行う予定です。教室ではない体育館のどこかを利用し、グループを変えながらできるかな、と考えているところです。本校ではVol.7までの履修を中学2年生で終えたあと、中学3年生では1年をかけ、ひとつのテーマを掘り下げる課題研究論文の提出とプレゼンテーション形式の発表会を行います」

——エナジードを履修した生徒さんたちの発表会の成果が楽しみです。本日はありがとうございました。

 

 

 

東京農業大学第一高等学校中等部

設立   2005(平成17)年

所在地   東京都世田谷区桜3−33−1

生徒数   540名(中学・男女)

URL    http://www.nodai-1-h.ed.jp/

※データは2019年4月のものです

 

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