「時代の変化を読み解く」令和に求められる人材・組織とは

企業様向け

03_“1 on 1”を意義あるものに 〜期末振り返り前に改めて〜

2020.02.13

B_コラム03_相手の立場に立つことができれば世界が広がる

 

 

米国シリコンバレーでは当たり前の習慣として実施されていた1対1の対話式ミーティング1 on 1

ここ数年ヤフーを始めとする有名企業が取り組んでいることで日本でも実施する企業が増えています。

多くの企業の働き方の構造が変わり、年功序列の制度がなくなりつつある現在、上司が部下を「指導する」のではなく、マネージャーがメンバーと対話し、協調することによってチームの生産性を高めるこの施策は、成功すればメンバー(部下)のやる気や学習意欲を引き出し、企業の業績向上にも繋がりますが、せっかくのこの時間を有効活用できていない企業も少なくありません。今回のコラムでは、1 on 1を意義のあるものにするために企業ができることを解説していきます。

 

 

 

人材育成の手法「1 on 1(ワンオンワン)」とは?

 

社員一人ひとりの主体性を引き出す育成法「1 on 1」。目標設定や業績、成果などを確認する評価面談とは違い、メンバー(部下)が抱えている課題や悩みについてマネージャー(上司)が定期的に話し合い、一緒に考えながら情報を共有し、フィードバックしていく「人材育成」を目的としたミーティングを意味します。日本はもちろん、世界で広く普及している1 on 1のメリットとデメリットについて、それぞれの特徴をまとめてみました。

 

1 on 1のメリット】

・見えなかった情熱や才能、適性への気づき

・モチベーションやパフォーマンスの向上

・信頼関係やコミュニケーションの構築

・現状の状況把握

・キャリア支援

 

1 on 1のデメリット】

・数字で表せないため効果が見えにくい

・形骸化しやすい

・自然消滅しやすい

・継続的な実施が必要

・メンバー(部下)とマネージャー(上司)双方の時間的負担になる

 

これまで知ることができなかった部下の本音を聞いた上で、具体的な施策や行動に繋げることが期待できる反面、効果が見えにくく、やり方を誤ればマネージャー(上司)がメンバー(部下)の不満に病んでしまう可能性も否定できません。メンバー(部下)が能動的に自分で考え行動できる、そんな人としての成長を養うための正しい支援が1 on 1の成功には必要だといわれています。

 

 

 

どこから始める?1 on 1の土壌づくり

 

1 on 1を有効活用するためには、まず土壌づくりから。その中でも最初の一歩とされるのが、日常会話で相手との距離を縮めることです。そもそも何気ない話、特に意味のない話ができない間柄の人に「深い話をしろ、悩みを相談しろ」と求めるのは、普通の人間関係であっても難しいもの。企業のメンバー(部下)とマネージャー(上司)という上下関係なら、さらにハードルが上がります。土壌を作るために以下のようなことを意識してみてください。

 

・雑談など、特に意味のない会話で盛り上がれる

・安心や信頼関係が感じられる

・相手の話を遮らず最後までしっかり聴く

・話し手の言葉を否定しない

・自分の考えを一方的に押し付けない

 

 1 on 1の効果を最大限に活かすためにも「話を聴く」ということについて一度考えてみることをおすすめします。

 

B_コラム03_近年の管理職に不足している能力・資質

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「人材マネジメントのあり方に関する調査」

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/14/dl/14-1-2_03.pdf

 

 

 

どうすればいい?1 on 1の実践方法

 

上司と部下、先輩と後輩など、指導する側とされる側には上下関係が常にあります。ですが1 on 1で必要な話し合いとは、両者がポジションを超えて人として対等であることが大前提。具体的にどうすれば対等な話し合いができるのか、4つのポイントをチェックしてみましょう。

 

1.「あなたに関心があるという意思表示」

上から目線で言葉を発すると、相手は無意識に気を遣い、自分から発信することを躊躇してしまいます。それが部下や後輩など立場の弱い人であれば、なおさらでしょう。共通の話題に興味を持ち、相手と同じ目線で「褒める」「心配する」という意思表示が「もっと話しても大丈夫」とプラスに働きます。

 

2.「自己開示、心理的安全性、リスペクトで信頼関係を築く」

一方的なコミュニケーションで話し合いは成立しません。お互いの持つ情報を同じペースでアウトプットしていくのがコツ。会話のキャッチボールで相手を理解しながら互いを信頼し、根底にある嘘偽りのない「ありのままの本音」を引き出していくことが理想です。

 

3.「最終決定を助ける自己決定の支援」

大抵の場合、悩みや課題に対する何らかの答えは、すでに相手の中にあるものです。上司が望む答えを誘導するのではなく、メンバーの望み・やりたい気持ちを表面に引き出せるのが1 on 1の強み。相手のモチベーションを上げて最終決定を促す、自己決定の支援がマネージャー(上司)の役割です。

 

4.「決定に対する具体的な支援策の提示」

メンバー(部下)が最終決定したことを行動に移す際、実現化に対する不安や心配があるのは当然のことです。そんな時はマネージャーの経験と人脈を活かし「その情報ならAさんが詳しいよ」「予算や人的リソースはこうするといいよ」「こういう手段や方法もあるよ」など、やりたいことへの具体的な支援策を提示して寄り添う時間を持ちましょう。不安は予測リスクです。リスクは事前に手を打つことで回避できることを伝えるとメンバー(部下)からの信頼度も上がり、内発的動機付けに直結します。

 

 

 

1 on 1を意義あるものにする「手段」と「感情」の役割

 

土壌づくりから実践を紹介しましたが、1 on 1を意義あるものにするためには「手段」と「感情」2つの要素が重要です。

 

【手段】

1 on 1実施は、頻度や開催曜日、時間帯、話すテーマを事前段階から明確にして、準備をした上で臨むこと。議案を決定するための「フレーム」をマネージャー側から提供し、短時間で的確な答えを出すことで通常業務への支障を減らします。雑談やグチだけで終わることがないようにしましょう。

 

【感情】

言葉や表情は相手の感情をダイレクトに刺激します。言葉を強く発すれば威圧的に聞こえますし、不機嫌な顔をすれば近寄りたいと思わないのが人間の心理。相手の状況を理解し寄り添うこと、助ける気持ちで伝えてください。

 

意義のある1 on 1を実現させるには、すべてを現場のマネージャー任せにするのではなく、企業として社員全員の成長を考えていくことが非常に重要です。ENAGEEDが提案するノウハウは「実行する力」を最大限に引き出し、組織を変えていくことが目的。価値ある場にする主体性を持ったマネージャー(上司)の成長が、次世代リーダー層の育成に繋がるはずです。

 

 

IoTやAIなどITを活用したビジネスが続々と誕生している昨今。変化が激しい時代の流れに負けないで企業が成長するためには、メンバー(部下)とマネージャー(上司)の両者が成長し、新しいビジョンに向けて行動することが必要です。ENAGEEDの目的は、「問題に対する不満」を「問題に対する提案」に転換し、1 on 1を行うマネージャー(上司)の心理的な負担を和らげ、さらにはポジティブなコミュニケーションが生まれる仕組みを構築すること。企業の成長のために今なにをすべきか、この機会に考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

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