株式会社エナジード(本社:東京都新宿区、代表取締役:氏家光謙)は、株式会社学研ホールディングスとの資本業務提携の取り組みの一環として、学研グループ各社との連携に基づく1年間の追跡分析(対象:中高生3,249名)を実施しました。その結果、「自己効力感の向上」「学力向上への意欲」「具体的な学習行動」の三指標がいずれも向上した生徒は、偏差値が平均5.5ポイント上昇していることが確認されました。(※1)
本結果は、文部科学省が学力の三要素に位置づける『学びに向かう力』の重要性とも整合する知見です。

社会背景
文部科学省は、学習指導要領および中央教育審議会答申において「学びに向かう力(主体的に学習に取り組む態度等)」を学力の三要素の一つとして位置づけ、学力観の再定義を進めています。(※2)
また、大学入試の総合型選抜の拡大や高等学校入試における人物評価の重視など、知識・技能に加えて「主体性」「協働性」「探究心」といった非認知領域が求められる流れが進んでいます。 こうした環境変化の中で、「学びに向かう力」をどのように育て、家庭とも連携しながら学力の実感(定期テスト・内申など)へつなげるかが、教育政策のみならず学校現場・家庭にとっての喫緊の課題です。
概要と結果
・対象:学研グループの学習塾に在籍する中高生 3,249名
・実施期間:2024年4月〜2025年3月(1年間)
・方法:ENAGEEDの授業(CORE)と通常授業を並行しつつ、「学習の目的意識」「自己効力感」「具体的学習行動」の3指標を継続測定し、定期テスト・内申等の学力データと突合して追跡分析。
・主な結果:3指標がすべて向上した生徒は、同期間のうち4月〜12月で偏差値が平均5.5ポイント上昇。
とりわけ、将来像の具体化(目的意識)や、学習時間・学びの工夫・目標設定(学習行動)の伸びが、学力の伸長と並走する傾向を確認。※本結果は相関に基づく知見であり、因果関係を断定するものではありません。補足:実施量や運用条件の違いに基づくサブグループ比較でも同様の傾向を確認しています。
先生と生徒の傾向
《生徒の傾向》
ENAGEEDの授業と日々の学習を往復する運用のもとで、自ら発言する機会の増加、学習計画の具体化、「自分ならできる」という自己効力感の高まりといった前向きな変化が幅広く報告されました。
《先生のアプローチと循環》
調査過程では、小さな変化をその場で承認する声かけや次の一歩を具体化するフィードバックが、生徒の積極性・継続行動の促進に寄与する傾向が観察されました。さらに、その変化を目の当たりにした先生側でも「もっと支援できる」という実感の高まりが確認され、学習行動の好循環が生まれる兆しが見られました。
自己効力感が学習行動を変えた流れ
目的意識の明確化 → 自己効力感の向上 → 学習行動の変化(時間・工夫・目標・周囲の巻き込み) → 学力の伸長(偏差値)
・目的意識:将来像の具体化/学ぶ意義の自覚
・自己効力感:「努力で改善できる」「自分ならできる」の認知
・学習行動:学習時間の増加/やり方の工夫/目標設定/友人・保護者・先生の巻き込み
・学力:同期間(4〜12月)の偏差値が平均5.5ポイント上昇(三指標いずれも向上した生徒)

今後の展開
エナジードは、学研グループとの取り組みで得られた知見を基盤に、学校・自治体・塾との連携を広げていきます。目指すのは、単なる学習支援にとどまらず、生徒一人ひとりが「自分ならできる」と実感できる(自己効力感)状態を、日常の授業・生活に根づかせる教育環境づくりです。
今回の検証で示唆が得られた「自己効力感 → 学習行動 → 学力」の好循環を出発点として、以下の三領域で実装と検証を加速します。いずれも“相関としての手応え”を踏まえ、再現性の高い運用モデル化と第三者評価の導入を進めていきます。(※以下はエナジードの単独展開。共同実証の対象外です。)
・学力の持続的向上
目標設定・振り返り・日常の行動管理を授業と接続し、「やったらいけた体験」をデータで積層。定期テスト・内申の改善を中期で追跡し、教師の関わり方(声かけのタイミング等)の最適化も検証します。
・不登校へのアプローチ
小さな成功体験の設計と、適切なタイミングでの関わり提示により、学びとの再接続を段階的に支援。家庭・学校・支援機関との連携プロトコルを整備し、実装可能なユースケースを蓄積します。
・関係づくり・予防(次段展開)
クラスの関係性を高めるコミュニケーション設計と、生徒の変化を見逃さない観測指標を提示。日常運営の“予防力”を高め、安心して挑戦できる学級文化の醸成を支援します。
注記・参考
※1 (5.5ポイントの定義):「5.5ポイント」は、中高生生(3,249名)を対象に、4月値と12月値の偏差値差(12月 − 4月)の平均を算出したものです。偏差値は、定期テスト等の学力指標を同一尺度に基準化(平均50・標準偏差10)して換算。本結果は相関に基づく記述であり、因果関係を断定するものではありません。
※2 学習指導要領および中教審答申における学力の三要素(知識・技能、思考力等、学びに向かう力等)。
https://www.mext.go.jp/content/20241225-mxt_soseisk01-000039447-01.pdf?utm_source=chatgpt.com
※3 国立教育政策研究所「PISA2022 結果のポイント」 ほか。https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2022/01_point_2.pdf
注記:本リリースはエナジードによる単独発表であり、記載の分析・解釈は当社に属します。
分析に関する留意:本分析は無作為割付ではありません。群間のベース差や交絡の可能性を考慮し、本文では相関として報告しています。
本件に関するお問い合わせ:
press@enageed.jp(エナジード 広報担当)
