教育事業 導入事例

【導入事例】伊奈学園中学校

2026.03.31


伊奈学園-1

 

授業終わりの「5分」と「問いかけ」で回る──伊奈学園中の振り返り設計

 

授業の振り返りは、生徒の学びを深めるための重要な取り組みです。けれど忙しい学校現場で、授業の最後に数分を確保するのは簡単ではありません。伊奈学園中学校が授業終わりの5分を振り返りに充てたのは、点数では捉えきれない「気づき」「つまずき」「意外な視点」を、生徒の言葉として受け取ることにもつながり、次の声かけや生徒理解につなげるためでした。問いは「感想でもいい」「“へえ”と思ったこと」など、書ける入口から。理科・数学を中心に記録が継続し、約3か月で2,336件(1日あたり約25件)が蓄積しました。LOUNGEで“成長の経緯”を読み、現場で回る形へ落とし込んだ工夫を伺います。

 

 

 

「点」だけでは見えないものを、学校の“資産”にしたい


伊奈学園中学校が大切にしているのは、生徒一人ひとりを深く理解することです。 
小泉校長はこう語ります。
「点数という“結果”だけではなく、その背景にある変化や経緯を読み取り、学びや生徒指導に生かしたいと考えていました」
 
既存のアセスメントによって数値としての「点」を捉えることはできます。しかし、日々の授業や行事の中で、生徒が何を感じ、どのように言葉にし、どんな一歩を踏み出したのか。そこにこそ、生徒の「育ち」の輪郭が表れる——そんな問題意識が、この取り組みの出発点でした。
 
伊奈学園中学校の校訓は「自彊創生(じきょうそうせい)」。
自ら努め励み、自らを新しく創り生み出していく。その姿勢を、生徒の学びのプロセスそのものに宿していきたいと考えています。だからこそ、「結果」だけでなく「途中」を読み取り、記録を残し、それを学校の財産として蓄積していくことに大きな意味があると考えます。
 
今年度は、エナジード社のAIを活用することで、生徒のふり返りの文章から、気づきやつまずき、さらには本人も意識していなかった以外な視点まで捉えることが可能になりました。こうした質的な情報は、生徒理解を深める新たな手がかりとなり、学校の教育活動を支える確かな基盤になりつつあります。

 

最初の一歩は「授業終わりの5分」——その5分が、生徒理解の“材料”になる

導入時によく出る不安は大きく2つ。「先生が多忙で手が回らない」「生徒が書けない」。だからこそ伊奈学園中が最初に決めたのは、授業の最後に貴重な5分を“振り返りの時間”として確保することでした。

この5分は、授業内容を削るための時間ではありません。授業中に起きた学びを、生徒の言葉でいったん書き出し、思考整理することで、明確に学びは深まり、記憶に定着しやすくなります。

それだけでなく、データとして読み取れることで、次の声かけやに活かすことができます。点数だけでは見えにくい生徒の「つまずき」「気づき」「意外な視点」が拾えるようになると、短い時間でも“使う意味”がはっきりしてきます。

ポイントは、最初から深い振り返りを求めないこと。問いを軽くして、書き始める入口をつくります。実際に使われていた声かけは、たとえば次のようなものです。

  ・「授業の感想でもいいよ」「軽くで大丈夫」

  ・「分からなかったことを、分からないと言えるのはすごい!」

  ・「授業の中で“へえ〜”と思ったことを書いてね」

 

さらに同校では、「なぜ振り返るのか」を生徒にきちんと説明し、いろんな授業で繰り返していることが重要だといいます。「書いてね」で終わらせず、納得感をもたせる。だから生徒も“提出”ではなく“自分の学びの記録”としてアウトプットするようになる——そんな実感があったと語られました。

 

なお、LOUNGE/GEARのように生成AIを活用するツールを扱う場面では、文部科学省のガイドラインでも、出力の誤り(ハルシネーション)や偏り(バイアス)を前提に、教職員が最終判断を行うこと、そして目的や扱い方を丁寧に説明することの重要性が示されています。

 

伊奈学園中でも、振り返りの意義を生徒にきちんと説明し、いろいろな授業で繰り返し取り組むことで、アウトプットが“提出物”ではなく“自分の学びの記録”として積み上がっていく実感があったと語られました。

 

 

 実際の記録は、どれくらい溜まったのか。

3か月(6/20〜9/19)で、参加生徒80名(2クラス)のインプットツール「GEAR」の総入力数は2,336件。夏休み中の利用率が88.9%と整理されており、長期休みでも途切れにくい設計になっていたことがうかがえます。
 さらに、全ストックのうち31.8%が「学んだこと+自分への落とし込みまで書けている」というAIの整理もありました。アウトプットする回数を重ねることで、質の変化(書き方の深まり)も観測できる——これは“続けた学校”だからこそ得られる手応えです。

 

 

 

 

先生方の負担をあげない仕組み

先生が授業の最後に「書いてね」と促すことで、毎回の授業で生徒の思考の記録が蓄積されます。さらに、AIがクラス全体の理解の深まり具合や学びの傾向を整理・要約し、先生が理解が浅い生徒にも気づきやすくなります。

その中で、伊奈学園中の活用は、主に中1の理科・数学の振り返り、総合の振り返り、夏休みの振り返り。インプットツールで日々の記録を溜め、LOUNGEで「変化・経緯」を読み取り、日々の声かけや生徒理解に返していく、という役割分担が明確でした。
また小泉校長は、学校現場ではPDCAのような予定前提の回し方が難しいと語り、FAIRサイクル(事実→解釈→行動→ふり返り)の考え方を重視しています。予定が崩れやすい日々だからこそ、“事実に戻れる”ことが強い。記録があると、解釈が独り相撲になりにくく、次の一手を選びやすくなります。



 

つまずきは“現場あるある”。タイピング・教科の偏りは、設計で乗り越える

伊奈学園中では、振り返りを生徒理解の土台として位置付け、校内で目線をそろえる取り組みを7~8年かけて積み上げてきたといいます。こうした文化づくりは、学校としての方針を共有しつつ、先生方が何度も議論を重ね、日々の実践に落とし込んできた点が印象的でした。
 
生徒の振り返りは「書くことが目的」ではなく、次の授業につなげ、学びを前進させるための大切なプロセスとして扱われています。だからこそ、教員は、研修や対話を重ねながら振り返りの目的や意味を共有してきました。そして、生徒が振り返りの書く内容の質そのものを高めていくことを大事にしてきました。
 
こうした積み重ねにより、生徒の振り返りが単なる作業ではなく、「自分の学びが深まっている」という実感を生徒がもてる重要な営みへと育っていきます。
その結果、教科の違いを超えて、日々の授業改善と生徒の成長を支える文化として継続されています。
 
「単に書くことを求めるのではなく、その意味や必要性を生徒に伝えることが大切です。生徒が徐々に意識して取り組むことで、学びを自分ごととして実感できるようになります。」(柳本教頭)

 

 

「先生の負担軽減」だけじゃない。保護者にも渡せる“生徒理解の記録”

先生方が語った期待の一つが、「保護者に生徒情報を見せられるのがよい」という点でした。保護者が知りたいのは、テストの点だけでなく、授業の中で何に引っかかり、何に興味を持ち、どう前に進もうとしているのかという“内面の動き”。日々の振り返りが蓄積されることで、面談や連絡の場でも「最近こんなことを書いていました」と、学びのプロセスを根拠に対話しやすくなります。

 

また小泉校長は、生徒のアウトプットをもとに、管理職が先生を支援する形でフィードバックできる状態にも期待を寄せました。これは評価のためではなく、たとえば 面談前の状況整理 や、生徒への声かけに迷うときの相談授業改善のヒント出し など、現場が困った瞬間に頼れる伴走のイメージです。実際、資料でも、LOUNGEの先生画面として「生徒データ」や「授業改善の示唆」が表示されることが示されています。

 


さらに先生方からは「AIがフラットに情報を出力してくれるのがよい」という声もありました。個々の見立てだけに寄らず、記録を材料に“印象”と“実態”を行き来できる。その往復が、保護者対応にも学年内の連携にも、じわりと効いてくる可能性があ

ります。

 

生成AIは「学び方」を整える——ガイドラインに沿った活用を

LOUNGE/GEARは生成AIを搭載したプロダクトです。生成AIを扱ううえでは、学校現場での安全性・公平性・個人情報への配慮、そして最終判断を人が担うことが重要になります。文部科学省の「生成AIガイドライン」でも、活用にあたっての留意点や、児童生徒への丁寧な説明・情報活用能力の育成の重要性が示されています。(参照:文部科学省
伊奈学園中で印象的だったのは、振り返りそのものについても「なぜやるのか」を生徒に伝え、納得感をつくりながら繰り返していた点です。技術の前に、学びの筋道を整える。だからこそ、生徒のアウトプットが“作業”ではなく、“自分の言葉”として積み上がっていく——そんな手触りがありました。

 

 

 

 

伊奈学園中学校について

伊奈学園中学校では、「18歳で社会に自立できる力を育てる」ことを目標に、生徒一人ひとりの成長を支える教育を展開しています。中高一貫教育の強みを活かしながら、教育データをもとに最適な学びを設計し、探究的な学びや地域・企業との連携を通じて、変化の激しい社会を生き抜く力を育んでいます。
HP:https://inagakuen.spec.ed.jp/jhs/

 

 

 

 

株式会社エナジードについて

株式会社エナジードは、「誰もが自らの生き方に誇りを持てる社会」の実現を目的とする企業です。
私たちは、その基盤となる「自己効力感」や「主体性」といった非認知能力を、独自のアルゴリズムで可視化・育成するプラットフォームとして提供しています。教育と社会の分断を解消し、学校から企業まで一貫したデータで人の成長を支えることで、日本の人的資本を最大化します。

 

 

 

本件に関するお問い合わせ:

press@enageed.jp(エナジード 広報担当)