リコージャパンの新任管理職育成――横のつながりを創出し、継続的成長を実現する研修を導入
スキル習得だけではなく、関係性や心理的安全性を重視。
リコージャパンが挑む「継続的な成長を実現する体質づくり」とは。

株式会社リコージャパン
人事・コーポレート本部 大井 敦さま
リコージャパン株式会社様は、複合機ビジネスからITソリューションビジネスへのシフトを加速させる中で、全社で「課題創造型体質への変革」を掲げ、一人ひとりが継続的に成長し続ける体質づくりを人材育成の軸に据えています。
その一環としてエンタープライズ事業本部では、新任組織職を対象にエナジードと共同で研修を設計・導入。スキルの習得にとどまらず、横断的なつながりや共感を意図的に生み出す仕組みを取り入れることで、着任直後の立ち上がりを支援しています。
今回のインタビューでは、本研修導入の背景や狙い、そして受講後に見えた変化について、人事・コーポレート本部の大井 敦様に伺いました。
「課題創造型体質」をどう現場に接続するか
Q:「継続的な成長を実現するための体質づくり」という方針は、どのように現場に落とし込んでいるのですか?
大井さん:リコージャパン全体では「課題創造型体質への変革」を掲げています。これは、コピー機を中心とした事業からITソリューションへと事業を転換する中で、単に指示を待つ人材ではなく、顧客の真の課題を共に発見し解決する人材が不可欠だからです。
エンタープライズ事業本部では、この方向性を「継続的な成長を実現するための体質づくり」と読み替えました。一過性の成果ではなく、成長が連鎖的に続いていく人材と組織を目指しています。そのために、全社共通の研修だけでは補えない領域──人と人との関係性や視座の広がりを独自プログラムで育んでいます。
Q:ENAGEEDとの研修を導入した背景を教えてください。
大井さん:新任組織職は、優れた実績を持ち、自らの力でキャリアを切り拓いてきた人材です。しかし、いざ組織を率いる立場になると、「経験だけでは対応できない課題」に直面します。判断に迷い、孤立感を抱えやすいのです。
そこで私たちは、同じ立場同士が安心して語り合える「横のつながり」を意図的に設計しました。一人で抱え込まず、互いに支え合えるネットワークを築くことが、持続的に成長できる土台になると考えたからです。エナジードさんはその思想に共感し、伴走してくれるパートナーだと感じました。
スキルではなく「人の土台」を育む研修へ
Q:その課題に対して、どのような研修を構想したのでしょうか?
大井さん:近年はeラーニングや動画教材が充実し、スキルを学ぶ場は豊富にあります。しかし、スキルだけでは人としての土台──共感力や多様性理解、他者との関係性──は育めません。
むしろ、新任組織職に必要なのは「人と人をどうつなぐか」を考える力です。そこで今回の研修では、スキル伝達に偏らず、安心して語れる場・自分を再定義できる機会・横のつながりを実感できる仕掛けを組み込みました。
私自身、過去に他社の研修プログラムを運営したとき、参加者から「部門間で喧嘩をしなくなった」という声を聞きました。喧嘩をしない関係こそが仕事を速くし、組織を強くする。今回の研修にもその学びを反映しました。
エナジードと設計した“横のつながり”の仕掛け
Q:具体的にはどのような工夫を取り入れたのでしょうか?
大井さん:単なるスキル習得ではなく、自己を見つめ直し、他者を理解するプロセスを重視しました。
・開始直後から対話が弾む価値観共有プロフィールの作成
・グループワークや第二階層長との対話で、共通の悩みを共有
・昼食交流をあえて設計に組み込み、自然な関係構築を後押し
こうした仕掛けにより、受講者は「自分だけではない」と安心し、互いを応援し合う空気が生まれました。これは “心理的安全性”をつくる第一歩 であり、ENAGEEDとの設計だからこそ実現できたことだと思います。
Q:研修を終えて、どのような変化を感じていますか?
大井さん:上司からは、「他部門との連携に前向きになった」という声が寄せられました。これまで自部門中心で閉じがちだった視点が広がり、横の動きを自ら仕掛けようとする変化が現れているのです。
また受講者自身も、研修後に 「1on1で自己開示を始めた」、「部下の主体性を引き出す関係づくりに挑戦している」 といった行動を実際に取り始めています。単なる“学びの場”で終わらず、日常のマネジメントに直結する変化が起きていることは、人事にとって大きな価値と言えるでしょう。
さらに印象的だったのは、研修を通じて「喧嘩をしない関係」が芽生えつつあることです。これは単なる衝突回避ではなく、互いの違いを理解し、支え合う姿勢が広がり始めているという兆しです。こうした変化は、心理的安全性やスピード感を高め、最終的には顧客価値の向上にもつながると確信しています。
Q:今後の展望について教えてください。
大井さん:今回の取り組みは、新任組織職を対象としたものでしたが、課題感はそれだけにとどまりません。特に組織職ではないベテラン社員──スキルは高いが視座を広げる機会が少ない層──にも研修を広げたいと考えています。
リコージャパンの強みは「人の良さ」と「協力し合う精神」です。これを次の世代にどう伝え、組織文化として根付かせるかが鍵だと思います。エナジードと共に、“継続的に成長し続ける組織”を実現する仕組みづくりを加速させていきたいです。
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企業名
リコージャパン株式会社
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業種
各種ソリューションの提供
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職種(導入した部署)
営業
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従業員数
17,372名 ※2025年4月現在
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導入サービス
人材育成プログラム、LOUNGE