自律を可視化し、次世代を選抜──スター精密が描く次世代リーダー像
社員から芽生えた「主体性」を成果に直結させる仕組みへ

スター精密株式会社
特機事業部 開発部 部長 鈴木祐司 さま
特機事業部 開発部 開発業務室 海津紀子 さま
世界130以上の国と地域で製品を展開し、精密加工技術でグローバルに評価されるスター精密株式会社。同社は「グレートスモールカンパニー」を掲げ、2030年に向けて持続的成長を見据えた中期経営計画を推進しています。その中核にあるのが、人材育成の強化です。
2025年には、年功序列を撤廃し、総合職一本化や複線型キャリアパスを導入するなど、人事制度を大きく刷新。人的資本経営の観点からも、人材育成を経営戦略の柱に位置づけ、制度改革や研修施策を通じて“人的資本への投資”を加速させています。
今回は、特機事業部 開発部 部長 鈴木様と、開発業務室 室長 海津様に、導入の背景と成果、そして組織の未来に向けた期待についてお話を伺いました。
個の力を組織の成果につなげるために
Q:なぜ今、人材育成を強化する必要があると考えられたのでしょうか?
鈴木様:「スター精密には、能動的に動ける社員が揃っています。”やりたい!”と前向きに手を挙げる若手も多い。個々のパフォーマンスは高いのですが、その力を組織全体の成果に結びつける仕組みが不足していました。つまり、強い個を“チームの力”へと変えていく必要があったんです。」
海津様:「社員は知識や専門性をしっかり持っています。でも『相手の立場でどう伝えるか』『どう巻き込むか』といったスキルも不可欠です。能動性をリーダーシップにつなげるには、個々の強みを引き出すだけでなく、組織的な視点を持つこととその仕組みづくりが必要だと感じていました。」
Q:ENAGEED導入の決め手は何だったのでしょうか?
鈴木様:「ENAGEEDの研修は“現場に直結する”のが大きな違いでした。『他者視点でどう伝えるか』『ゴールからどう逆算するか』。これは知識を詰め込む研修ではなく、日常業務ですぐに役立つ内容だと感じました。」
海津様:「特に、提案の中で、“受けてきた教育によって世代ごとに持ち味や価値観が異なる”というお話があって、『ああ、確かにそうだな』とすごく腑に落ちたんです。私たちの世代はどうしても“先回りして正解を教えてしまう”傾向があり、ところがあるんですよね。その結果、若手が自分で考える前に答えを与えてしまって、主体性を育む機会を奪っていたんだなと痛感しました。まさにその世代間ギャップこそが、リーダー育成のボトルネックになっていたんだ、と課題を突きつけられたように思いました。」
社員の変化と共通言語の芽生え
Q:実際に研修を実施してみて、どのような変化が見られましたか?
鈴木様:「私はもともとハードウェアの設計を担当していました。開発の現場では“ゴールからどう逆算するか”がとても重要なんです。例えばモーターを動かすギアが壊れたとき、ただ部品を交換すればいいのではなく、なぜ壊れたのか、その原因を突き止めなければ同じ不具合がまた起きてしまう。常にゴールから逆算して原因を探り、解決策を導く思考が欠かせません。
ENAGEEDの研修で扱う“ゴールから逆算する視点”は、まさにモノづくりの現場で求められる考え方そのもの。研修後に社員から『これって自分たちの開発にもそのまま使えますね』という声が出たとき、学びと実務が直結したと強く感じました。実際に会議でも“この検討はゴールに結びつくのか?”と問いかけが生まれるようになり、議論の質が上がっているのを実感します。」
「“共通言語”ができたこともよかったです。『デキナイ/デキル』『他者視点』『ゴールから逆算』といったキーワードが会議や他部署との連携で使ったりしています。『これ、研修でやったよね』と共通の視点で話せることで、議論が進みます。」
日々の気づきを成長へとつなげる仕組み
Q:2回目の研修と一緒に導入いただいた、キャリアマネジメントシステム『LOUNGE』についてはいかがですか?
海津様:「LOUNGEは“気づきを共有する場”であるだけでなく、メンバーの強みや思考の特徴を見える化できるのが大きな価値です。日々の振り返りを通じて、その人が何に課題意識を持ち、どんな視点で物事を考えているかがわかるようになりました。
「ある部下が『もっとできたかもしれない』と反省を書いたとき、私が『あなたのベストは尽くされていたよ』とコメントしました。その一言で本人の表情が明るくなり、前向きに取り組むきっかけを得られたように見えます。普段の業務報告だけでは絶対に出てこないやり取りでした。」
鈴木様:「私自身も実際にコメントを返したときに『見てくれているんですね』と言われたことがあります。小さなやり取りですが、それだけで関係性にポジティブな影響がありますし、リアルなコミュニケーションの質まで変わってきたと感じます。」
海津様:「LOUNGEがあることで、メンバーの思考の特徴や成長の過程が見えるようになります。上司としても部下の強みや課題を把握しやすくなりますし、単なる自己啓発ではなく、“育成のプロセスを見える化し、次世代リーダーを発掘できる仕組み”として活用できるようなツールです。」
制度改革と連動し、文化として根づかせる育成モデルへ
Q:今後、期待していることがあれば教えてください。
鈴木様:「研修は非常に良いものでしたが、重要なのは“風化させないこと”。定期的な振り返りや仕組みを設けて、学びを文化として根づかせたいです。LOUNGEをうまく活用できていけば、定着していくと思います。何かプログラムやコンテンツなど、引き続きご提案ください!」
海津様:「制度改革と連動させながら、能動性をリーダーシップへとつなげていきたい。人材育成を文化として根づかせることが、2030年に向けた成長戦略に直結すると考えています。」
精密技術にこだわり、世界に製品を届けてきたスター精密。その未来を支えるのは、能動性を組織の力に変換する人材育成です。ENAGEEDとLOUNGEの活用は、その歩みを加速させています。
ーーーありがとうございました。引き続き、次世代リーダー層の主体性育成プログラムを通じて、スター精密様の挑戦する組織作りを支援してまいります。
-
企業名
スター精密株式会社
-
業種
製造業・メーカー
-
職種(導入した部署)
開発部門(設計・開発エンジニア)
-
従業員数
連結 4,138名(単体 766名) ※2024年12月時点
-
導入サービス
人材育成プログラム(for for Member)、LOUNGE